発光装置を組み立て倍々ゲームで成長「3現」は「5ゲン」へ

 インターネットや世界の大陸間を光ファイバーで結ぶ海底ケーブルの普及で、発光装置の売り上げは倍々ゲームで増えていく。その製品名を付けたファイテル工場に、入ってみた。当時の課題は、歩留まりの向上や消耗品交換の時間短縮、生産ラインのスピードアップなど。その現場で「なぜだろう」「どういう原理なのか」を考えるようになり、原理と原則を加えた「5ゲン主義」が身に付いていく。

『源流Again』で、荒川区西日暮里にある母校の私立開成高校も訪ねた。校門を入ると、改築されてまだ程ない鉄筋コンクリート建ての校舎が、左右に続く。在学していたときは、古いコンクリート建ての校舎に時計台があり、いい風情だった。窓ガラスも床も一部が壊れ、冷暖房はないので夏は下着の上に学生服をはおり、冬はコートを着て授業を受けた。そんな感慨は拭き消してしまう、オフィス棟のような外観になっている。

 高校からの入学者は約50人、開成中学校からきた生徒が約300人。一貫教育組は高校2年生向けの授業まで進んでいて、高校入学組は別学級で授業時間は長く、補習も多かった。

 それは当然のように受け止めたが、驚き面白かったのは、バンカラな校風だ。入学して最初の授業が終わった教室に、上級生が竹刀を持って現れ、机を全部、後ろに移動させられた。4月にある東京教育大付属高校(現・筑波大付属高校)とのボート対抗戦の応援歌の練習だ。

「腹の底から大声を出せ」と言われ、声が小さいと竹刀で机をたたき、活を入れられる。対抗戦の日は中学校と高校の新入生は全員、ボート場へいき、立ちっ放しで応援した。終わると5月の運動会へ向けて、昼休みと放課後に応援の練習が続く。

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