さまざまな出会いや縁がつながって、過酷な環境から助け出された猫たちがいます。新しい家族に縁づくその日まで、1猫1猫のしあわせを願って、保護猫カフェねこかつ代表の梅田達也さんが綴ります。
【写真を見る】護岸に住んでいたほっぺくん。人懐こいけどいつもひとりぼっちだった
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おなかを空かせ、駆け寄ってきたほっぺくん
保護猫カフェねこかつは、川越と大宮を中心に活動する埼玉の猫の保護団体です。保護する猫たちも地元埼玉の猫たちが大多数です。けれども、ねこかつで保護する猫の中には他の地域の猫たちもいます。
推定7歳のキジ白の男の子、ほっぺくんもそのひとり。埼玉からは遠く離れた沖縄本島の海沿いの公園で保護されました。
ほっぺくんは、6年ほど前、沖縄の海沿いの公園に突然現れました。
ボランティアさんがいつものように公園の猫たちにご飯をあげに行くと、見たことのない猫が駆け寄ってきました。それが、ほっぺくんです。
お腹を空かせたほっぺくんは、ご飯を急いで食べ、手からおやつも食べました。人懐っこい成猫であること、近くには民家もなく迷い込んでくることも考えにくいため、捨てられた猫だと推測されています。
沖縄の猫たちの過酷な状況
ここ数年、ねこかつでは沖縄の猫の保護に力を入れています。「埼玉の猫の保護団体が沖縄の猫の保護?」と、疑問を持つ方もいるかもしれません。
沖縄の猫の保護に力を入れているのは、沖縄の猫たちが置かれた状況があまりにも過酷であること、そして、その過酷な状況下で猫たちの命を守ろうとしている沖縄のボランティアさんたちのがんばりをできる限り応援したい、そんな気持ちが大きいからです。
ほっぺくんが捨てられた当時、その公園には約100頭もの野良猫たちがいました。
100頭の野良猫たちがひとつの公園にいる。埼玉では考えられない状況です。残念ながら、沖縄は野良猫が圧倒的に多い地域なのです。
猫は繁殖能力の高い生き物です。
100頭もの猫が増えては死に、増えては死に、そして行政施設に収容されて、殺処分される。そんな状況をそのまま放置していいわけがありません。