鴻上尚史さん(撮影/写真映像部・小山幸佑)
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 母親の言うことを聞かないと怒られてきた28歳女性。習い事などは、親の過度な期待がかからないようにと、一生懸命打ち込むことは避けてきたという。そんな女性に、鴻上尚史が贈った「周りの雑音を気にしないで、面白いことに飛び込む」というアドバイスの真意とは。

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【相談226】

 何かひとつの道に進んでいる方がかっこよく見えて仕方ないです。好きなことの見つけ方、コツなど、ヒントがほしいです(28歳 女性 いしだおかか)

 鴻上さん、わたしは今日28歳になりました。家族を捨てる決断をしたのが19歳、遠く離れた土地で仕事に就くと決めたのは22歳、勤めている会社を辞めようと決意したのは27歳のときでした。鴻上さんのお悩み相談に温かさを感じるのは、お名前を呼んでくださるからなんじゃないかなとおもって、真似させていただきました。

 さて、わたしがご相談したい悩みについて書かせていただきます。それは、「世の中、意外となんでもできちゃう」ということに気づいてしまったことです。我が家は、母親の暴力で統制され、母の意向に沿わない「好き」「やりたい」が許されないお家でした。結果的に姉とわたしは10代で心を病み、親元を離れたことで少しづつ人生の舵を自分で取れるようになりました。

 わたしは今、中小企業の人事コンサルタントをしていてたくさんの経営者の方と関わる機会があります。圧倒的なバイタリティー、笑えない大失敗、おもわずついて行きたくなる先導力に触れ、自分自身の檻から出さえすれば実はなんでもチャレンジできてしまうことに気づきました。想像以上に目の前の道が広がっていることに衝撃を受けたとともに、世の中のひとはどんな意志でもって道を決めていっているのかがとても気になっています。

 わたしは、幼少期から何かにハマった経験がなく、部活動・習い事・進路など姉や兄のマネをしてばかりでした。どれもそこそこの成績をおさめるのですが、親の過度な期待がかからないように一生懸命打ち込むことは避けてきました。何かひとつの道に進んでいる方がかっこよく見えて仕方ないです。

 みなさん、どうしているのでしょうか?好きなことの見つけ方、コツなど、ヒントをいただけるとすごくうれしいです。何卒よろしくお願いいたします。

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鴻上尚史

鴻上尚史

鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)/作家・演出家。1958年、愛媛県生まれ。早稲田大学卒。在学中に劇団「第三舞台」を旗揚げ。94年「スナフキンの手紙」で岸田國士戯曲賞受賞、2010年「グローブ・ジャングル」で読売文学賞戯曲賞。現在は、「KOKAMI@network」と「虚構の劇団」を中心に脚本、演出を手掛ける。近著に『「空気」を読んでも従わない~生き苦しさからラクになる 』(岩波ジュニア新書)、『ドン・キホーテ走る』(論創社)、また本連載を書籍にした『鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』がある。Twitter(@KOKAMIShoji)も随時更新中

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