このチーム見続けたい
他選手も成長著しい。ジョシュ・ホーキンソンはフィンランド戦28、オーストラリア戦33とチーム最多得点をたたき出した。ディープスリーを代名詞とする富永啓生は徹底マークを懸命にかいくぐった。キャプテン富樫勇樹はオーストラリア戦で河村に先発を譲ったものの、苦しいときにシュートを沈め存在感を見せた。33歳最年長の比江島慎は身長2メートルの大男たちが待ち構えるゴール下へ果敢にドリブルで中に切り込んでは、苦しい時間を支えた。
何よりこのチームを見続けたいという気持ちに駆られる。怒鳴り声が注目されがちなトム・ホーバス監督だが、粘っこい守備や失点した後のクイックスタートなど日本選手の長所を引き出した。3Pシュートは前回大会平均成功率が32チーム中27位の28.7%に対し、フィンランド戦は39.3%(28本中11本)と進化した。
1次ラウンド全試合が終了した8月30日現在でアジア勢で1勝しているのは日本だけ。勝ち点と得失点差で出場権争いのトップに立った。1976年モントリオール五輪以来48年ぶりとなる自力出場に期待がかかる(執筆時点で結果は出ていなかったが、その後日本代表は2連勝し、48年ぶりの自力での五輪出場を勝ちとった)。
サッカーがJリーグ開幕から5年後にW杯出場を果たしたように、Bリーグ7年目で快挙をとは願う。ただ、目を閉じて彼らの必死の形相を思い浮かべたとき、大きな充足感に包まれることもまた否定できないのだ。(ジャーナリスト・島沢優子)
※AERA 2023年9月11日号より抜粋