バスケットボール男子が7日、パリ五輪前の最終国内戦に臨んだ。オリンピックメンバーをかけたサバイバルで、ホーバスJAPANの対戦相手は韓国。注目選手の特徴を過去の記事からおさらいする(この記事は2023年9月6日に配信した内容の再掲です。年齢、肩書、情報は当時のままです)。
今大会でパリ五輪の出場権を逃せば代表引退を公言していたエースの渡辺雄太。その覚悟に応えるような活躍を見せたのが河村勇輝だ。AERA2023年9月11日号より。
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22歳の若きポイントガードはフィンランド戦で、3Pシュート4本を含む25得点、9アシストをマーク。最大18点差をひっくり返す逆転劇を呼び込んだ。
「まだまだ代表引退なんてさせませんよ」
試合後、渡辺にそう声をかけた。
その河村をミニバスケット時代に教えた森本敏史さんは「あの子はね、いいほうに裏切ってくれるんですよ」と声を弾ませた。
「あそこにパスしてほしいなって思ったとき、その通りにできる子はいいガードですよね。でも彼は、おまえ、そこに投げるのか!?っていう驚きを僕ら指導者にもたらすわけです」
フィンランド戦で、まさしく想定を上回る活躍を見せてくれた。小学生時代にすでに会得していた高い空間認知力とパスセンスは「NBAマニアだったお父さんのおかげでしょう」。そう話す森本さんによると、マジック・ジョンソンやマイケル・ジョーダンの大ファンだった父親が集めたビデオを、河村は就寝前に観ていたそうだ。
「あの子のノールックパスは、マジック・ジョンソンのプレーを真似てるうちに自分のものにしたんでしょうね」
続けて森本さんは、渡辺の恩師である香川県私立尽誠学園高校バスケットボール部の色摩(しかま)拓也監督が渡辺を「地道に努力できることが最大の武器」と表したように、「努力」という言葉で教え子を形容した。
「毎日シュート600本インさせたという話が話題になってますが、小学生のころからやってました。1千本入れてきたと聞いたこともあります。あの子の一番の才能は努力ですよ」
努力で培った凄技は、175センチの身長ながらNBAオールスターなどにも選ばれたポイントガード、アイザイア・トーマスのハートまで射抜いたようだ。SNSでフィンランド戦のハイライト投稿を引用して「He was killing!!(彼は最高だった)」とコメントを寄せたのだ。