21年のホームランダービーで対戦した大谷(右)とソト(AP/アフロ)

21年は球宴後に本塁打が急減

 大谷は2021年のオールスターでホームランダービーに参加している。1回戦の対戦相手は当時ナショナルズのフアン・ソト(現ヤンキース)。大谷は3分間で16本塁打を放ったが、ソトと同数で1分間延長に。6本塁打追加したが再び同点で再延長。次の1分間でも両選手が6本塁打で同点と決着がつかず、3度目のサドンデスでソトに及ばず敗れた。大谷は計68スイングで28本塁打。45秒の休憩を1度だけ取っただけでバットを5分間振り続けた。

 この時は標高1600メートルの高地にあるロッキーズの本拠地・クアーズ・フィールドで開催された。サク越えを目指してスイングし続けると、空気が薄いため体にかかる負担が大きい。息を切らして膝に手を置き、「疲れた!」と叫ぶなど、疲労困憊の様子だった。

 この年、大谷は前半戦84試合出場で33本塁打を放ったが、後半戦は71試合出場で13本と失速した。打撃のバランスを崩して引っ張る打球が多く、打球が上がらなくなっていた。

 エンゼルスの関係者は、「大谷はホームランダービーの影響に言及していないが、完全に打撃を狂わされた。人気選手なので出場せざるを得ない背景があったかもしれないが、あのイベントに出場していなければ間違いなく本塁打王を獲得していたよ」と強調する。

今年のルール変更も「負担軽減にならない」

 現場の声に危機感を持ったのだろう。今年のホームランダービーはルールが改正された。1回戦は8選手が出場し、上位4選手が準決勝、決勝のトーナメント方式で競う。時間制限は1回戦と準決勝が3分、決勝が2分と変わらないが、1回戦と準決勝は40球、決勝は27球という球数制限が導入された。さらに、「ボーナスタイム」の30秒間はサク越え以外全てアウトとカウントして3アウトになるまで打ち続けられる。425フィート(約130メートル)を超えるアーチを放つと、4アウトまで打つことができる。

 前出の通信員は、「この新ルールでは選手の負担が軽減されない」と否定的な見方を示す。

「昨年までのルールだったら1ラウンドの平均は43スイングです。1回戦と準決勝で40球に制限してもスイングの量はほとんど変わりません。20球打って本塁打を何本放つかという方式に代えた方が選手たちも参加に意欲を示すと思います」

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