近頃、春画がちょっとしたブームで、その手の浮世絵や絵巻が「美術」として再評価されている。本書にもカラー図版が数枚載っているが、「いかにも」な絵と共に『伴大納言絵巻』の火事場面や『餓鬼草紙』の路上風景も並ぶ。ヘンに博覧強記な著者だけに、その謎のほうが興味深い。 「芸術か猥褻か」は社会通念で決まる。各時代の男女のあり方が影響するが、男女関係は親子関係や社会構造と無縁ではない。というかその一部だ。…

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