筋トレがブームだ。だが、たくましい肉体を手に入れたいとの思いにかられ過ぎて、筋肉増強作用のある一部のステロイドに手を出し、男性なら乳房が女性化したり、精子数が減少するなどの副作用に苦しむ人も少なくない。自己責任だと開き直る使用者もいるが、専門家は「気がつけば依存症のようになって、簡単に後戻りできないのが筋肉増強剤の怖さ」と警鐘を鳴らす。筋トレブームだからこそ、知っておくべき副作用を医師に取材した。
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筋トレ愛好家が使うアナボリックステロイドという筋肉増強剤がある。これは、男性ホルモンであるテストステロンと似た性質を持っており、摂取すると見違えるように筋肉量が増えるというふれこみだが、使用者らが集う、とあるインターネットの掲示板にはこんな主旨の記述がある。
「乳首にしこりがある。兆候なしに、いきなりガイノ(=女性化乳房)が発症するのか」
「精液が著しく少なくなった」
「ニキビができた」
摂取の仕方によっては副作用とみられる症状が出ているほか、使用に関する悩み相談のような書き込みも少なからずあった。
「アナボリックステロイドをすでに使っている人や、これから使用を検討している人の質問に対し、使用歴が長いと思われる『先生役』の人が回答し、アドバイスをしているのです」
こう話すのはドーピング問題を長く研究し、そのリスクについて警鐘を鳴らし続けている医師で十文字学園女子大学教授の高橋正人さんだ。