日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は日本では聞きなじみのない「避妊インプラント」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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アメリカでひどい月経痛が再発し、それを改善するための方法として「避妊インプラント」を左上腕の内側に埋め込んでから、はやくも1年が経ちました。
避妊インプラントの挿入は、妊娠を防ぐ避妊方法の一つであり、アメリカでは、避妊法としてすでに一般的な方法として知られています。残念ながら、日本では、まだ承認されていない避妊法の一つです。そのため、「あまりに辛い月経痛から解放されたい」と思い、駆け込んだ「Planned Parenthood」という医療機関のドクターから「あなたには低用量ピルではなく、避妊インプラントの方がいいと思うわ」と教えてもらうまで、私自身、恥ずかしながら存在を知りませんでした。
避妊インプラント(※1)の形状は、マッチ棒くらいの大きさの小さくて細い棒です。上腕の皮膚の下に挿入されたインプラントから、人工的に合成された黄体ホルモン様物質であるプロゲスチンが放出されることで、妊娠を防ぐことができるという仕組みです。
1つ目の避妊インプラントの特徴は、長期間(私が挿入した商品名Nexplanonは、最大5年間)効果が持続することです。妊娠したいと決めた時や、インプラントの使用をやめたいと思った時は、体内から取り出すことが可能です。インプラントを取り除けば、避妊効果はなくなるため、すぐに妊娠することが可能になります。
避妊効果は99%以上
2つ目の特徴が、避妊効果が高いことです。「Planned Parenthood」の情報によると、避妊効果は99%以上(100人に1人未満が毎年妊娠することを意味する)とあります。腕の中に挿入されているため、低用量ピルの内服の時のような飲み忘れもなければ、間違って多くの量を内服してしまった、なんてこととも起こりません。