マリナーズ時代のイチロー
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 6月もまもなく終わります。最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は5月22日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)

【写真】イチローだけじゃない!MLBの年金額「満額支給」の日本人選手がこちら(ほか3人)

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 近年、野球界では選手の大型化も進み、加えてトレーニング方法も進化したことで、世界に出てもフィジカルで負けない選手も登場してきた。その最たる例が大谷翔平ドジャース)だろう。元々193センチと長身だが、さらにフィジカルを強化したことで、メジャーリーガーたちを凌駕するような体を作り上げ、二刀流としての活躍を現実のものとした。
 

 大谷の他にも最近は身体的な部分でメジャーリーガーに負けないような大型の日本人選手も増えてきた印象も受けるが、細身の体で“技術”を最大の武器として米国で活躍したのがイチロー(マリナーズほか)だ。

 大谷ら大型の日本人選手の活躍が増えている中、イチローが来年殿堂入りの資格を得るタイミングで、改めてその凄さに注目が集まっている。

 イチローはメジャーリーグ公式サイト『MLB.com』のプロフィールを見ると、身長5インチ11フィート(約180センチ)、体重175ポンド(約79キロ)。いずれも日本人男性の平均よりも上ながら、メジャーでは“華奢”な部類だったのは明らかだろう。

「スポーツで成功するには技術、フィジカル、メンタルの全てが必要。特に海外でプレーするには体格が優れているに越したことはない。パワー、スタミナ、相手への威圧感(=見た目)といった部分で武器になる」(MLBアジア地区担当スカウト)と言う声もあるように、イチローは“不利”な条件でプレーしていたはずだ。

 実際、イチローが日本人野手として初のメジャー挑戦だったことだけでなく、体格的なこともあり当初は通用するかについて懐疑的な見方も多かった。

 しかし見事に評判を覆し、その後にメジャーリーグに挑戦する選手たちの草分けとなった。だが、日本人選手が米国でプレーするにあたって「体の大きさ」がネックとなり、海を渡ることを躊躇していたということも少なくなかったという。

「体格は生まれ持った才能。かつては、『松井秀喜さん(ヤンキースほか)くらい大きくて丈夫な体があればメジャー挑戦したい』と語っていた小柄な選手も少なくなかった」(スポーツマネージメント会社関係者)

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あの時代に華奢な体で戦ったイチローの凄さ