AERA 2024年6月24日号より

 児童手当の拡充をはじめとする支援策は、子育て世帯が歓迎できるものばかりだ。しかし、その財源を確保するため、子育て支援金制度が新設されることも決定。支援金と言っても健康保険を通じ、子どものいない世帯からも幅広く徴収される仕組みだ。

負担は再来年度から

 子育て支援金の負担は2026年度からスタートし、28年度まで段階的に増額される予定だ。肝心の負担額は加入している健康保険の種類によって異なり、まず被用者保険の場合は年収に応じて異なる設定になっている。

 被用者保険に該当するのは、中小企業の従業員などが加入している協会けんぽ、大企業の従業員などが加入している健康保険組合、公務員などが加入している共済組合だ。上の一覧表にまとめたように、年収300万円なら26年度は月額300円で、28年度には500円に引き上げられる。

 年収1千万円の人は初年度が月額1千円で、28年度には1650円になる。被用者保険加入者なら、扶養する家族が増えても負担額は変わらない。たとえば年収800万円なら、専業主婦の妻と2人の子どもがいても、初年度の負担は月額800円。年収800万円の独身者も、同じ800円の負担になる。

 ウェルス労務管理事務所代表で社会保険労務士の佐藤麻衣子さんは次のように説明する。「国民健康保険加入者や後期高齢者の負担額は被用者保険加入者と計算方法が異なりますが、公費の投入で低所得者には軽減措置が設けられます。そのため、各々の負担能力に応じた金額になってきます。加入している健康保険の種類を問わず、現時点における20分の1~25分の1程度になりそうだというのが一つの目安です」

 表中における国民健康保険加入者と後期高齢者の負担額は、低所得者向けの軽減措置を反映したうえで算出した平均値で、所得によって実際の負担額には違いが出てくる。また、被用者保険加入者の場合は、同じ金額を事業主も負担する。(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2024年6月24日号より

AERA 2024年6月24日号より抜粋

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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