参院本会議に臨む岸田文雄首相(前列右)と加藤鮎子こども政策・少子化担当相(同左)=5月17日
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 医療保険に上乗せし徴収する子育て支援金。負担は2026年度から始まり、28年度まで段階的に増額される予定だ。加入している健康保険や所得によって負担額はどう変わるのか。AERA 2024年6月24日号より。

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 明日の破滅に直結するものではないだけに、日本が直面している少子高齢化の問題に危機感を抱くのは難しい。だが、着実に進行しているのは明白だ。6月5日に厚生労働省が公表した「人口動態統計」によれば、昨年の「合計特殊出生率」は1.20で、統計調査の開始以来、最低になったという。

「合計特殊出生率」とは、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの。1人の女性が一生のうちに産む見込みの子どもの数を示す指標と位置づけられている。一方、先進諸国における高齢化率を比較すると、日本は2005年から最も高い水準に到達してトップを独走中だ。

 このまま少子高齢化が続くと、いったいどんな未来が待ち受けているのか? 4月下旬に民間の有識者グループ「人口戦略会議」が発表したレポートは衝撃的な内容だった。

新たな国民負担が発生

 2020年から50年までの間に、日本全体の4割に該当する744の自治体で、20~30代の女性が半分以上減少。人口が激減し、最終的には消滅する可能性があると分析したのだ。

 このように少子高齢化が極限状態まで進めば、おのずと公的年金も苦しい運営を迫られる。大多数を占めるシニア世代の年金給付を、少数派の現役世代が必死で支えることになる。可及的速やかに少子高齢化に歯止めをかけなければ、日本の未来は悲惨なものになりかねないのだ。

 そんな中、参議院本会議で可決・成立したのが改正子ども・子育て支援法などだ。くしくも過去最低の「出生率」が発表された6月5日のことなのだが、野党はこれに反対しており、世間でもブーイングが飛び交っている。なぜなら、新たな国民負担を強いる内容だったからだ。

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