●フライト時間変更、法人への営業で 搭乗率は77.5%へと改善!

 これを受けて全日空から富山空港が突きつけられた、来夏ダイヤでの6便維持の条件「特割運賃以上の利用で1ヵ月に1万500席の増加」に、富山県は躍起になっている。当初から前年比4.7倍という1億2700万円を対策予算に確保していたが、全日空からの通告を受けて、9月補正予算で追加対策も決まったほどだ。

 まず昨年3月には、「(富山)県庁職員は首都圏方面への出張の際には原則、新幹線より経済的な飛行機の「特割」を利用」するという通達が下され、県庁職員自らが飛行機利用に一役買うことに。昨日まで北陸新幹線開業を必死でアピールしてきた職員でさえ、飛行機を利用しなければならないという皮肉さも孕んでいるが、背に腹は代えられないとはまさにこのことだろう。

 さらに、法人による飛行機利用を促す「富山きときと空港企業サポーターズクラブ」を創設し、参加企業を募集。入会金・年会費などは無料で、飛行機を利用するほどモノレールなどの乗車券や富山空港でのお食事券・お買物券などの特典がプレゼントされるもので、もともとビジネス利用が8割だったことも功を奏し、北陸電力や北陸銀行といった地元の有力企業が参加。さらに都内に本社を置く大手企業などに案内を続け、現在では約250社が参加しているという。

 そして、もう1つ大きな対策となっているのが、全日空によるフライト時間帯の変更だ。これまで富山―羽田便で利用率が60%未満だった「富山発羽田着の午後便」と「羽田発富山着の午前便」の時間帯を、昨年10月末の冬季ダイヤから変更。具体的には、午後だった富山発第3便を午前便に変更し、午後からの首都圏での予定に対する利便性も向上。そして東京発第2便と第3便の出発時刻を前倒しすることで、午前からの富山でのビジネス利用にも叶うようになった。

 富山県知事政策局総合交通政策室・航空政策調整担当の田崎博勝課長補佐によると、「8月までは60%台後半だった搭乗率が、10月と11月は70%台後半と改善している」というから、冬季ダイヤの変更や県による粘り腰の対策が功を奏しているようだ。

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