――この5年間で、上戸さんの環境も変わりましたね。
1作目のときはまだ子どもがいませんでした。当時はオーロラ姫の目線で物語を見ていましたが、今は母親であるマレフィセントに共感する部分が多くなりました。いろんな国の子を育てているアンジーだからあのマレフィセントが表現できるし、家族は血のつながりだけではなくて、それを超えた絆こそが本当に強いものだと感じさせられます。アンジーが私生活でおこなっていることだからこそ、見ている側も作品の奥深さを感じることができるのだと思います。
――母親になって、仕事との向き合い方は変わりましたか?
いろいろな作品の話をいただくなかで、やはり自分がその役をやりたいかどうかっていうシンプルな基準を大切にしたいと考えるようになりました。
アンジェリーナ・ジョリーさんもそうだと思いますが、自分がやりたいことに対して、子どもがついてきてくれるような仕事をしていたいです。子どもが許してくれる仕事を選ぶのではなくて、ちゃんと理解してくれる子どもを自分が育てないといけないと思います。
――今後のドラマでは母親役の機会が増えるかもしれません。
年齢的に早くはないんですけど、私の世代で子どもがいる女優さんはまだ少ないですよね。結婚して間もないときに、ドラマ「半沢直樹」で主人公の妻を演じました。当時は戸惑いもあって、監督に「いや、私にはできません」なんて言っていたのですが、見ていただいた方々から大きな反響がありました。きっと、妻役はもう違和感なく見てくださると思いますが、「母親」として皆さんのイメージに定着するのはこれからだと思います。実生活で体験していることを、役にもいかしていきたいです。
――「マレフィセント3」があるとしたら、次は母親役かもしれませんね。
アンジェリーナ・ジョリーさんの作品はもう見られないのかなって勝手に思って寂しくなっていたんですけど、彼女が3に乗り気だったという話を聞いてうれしかったです。また続編ができるのなら、楽しみです。
(構成/井上啓太)