ウーバーバイトの充実感を告白したオードリー若林正恭
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 昔、『ダウンタウンのごっつええ感じ』に出ていた頃の松本人志が「俺、アルバイトしたいわ」と語っていたことがあった。そのときは笑い話だと思われていたのだが、その後、エッセイでも同じことを書いていたので、実は割と本気で言っていたのかもしれないと思った。

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 そのことを改めて思い出したのが、オードリーの若林正恭がウーバーイーツのアルバイトをしていることを知ったときだ。若林は最近、実際にウーバーイーツで働いている。本業の合間に、自転車に乗って食事などを宅配する業務を行っているのだ。

 6月11日放送の『踊る! さんま御殿!! バイトやらかしマル秘過去 女子校ってマジ最高祭』(日本テレビ系)でも、彼がそのバイト体験のエピソードを語っていて、話題になっていた。

 もともと自転車に乗るのを趣味にしていたのだが、目的地もなく同じルートをぐるぐると走るのに飽きてしまい、ウーバーイーツの仕事を始めることにした。

 いざやってみると、灰色だった道がカラフルに見えたという。目的があって自転車に乗ることには、今までとは違う楽しさがあった。それ以外にも、夜に1人で宅配バッグを背負って家から抜け出してバイトに行っていたので、近所の人から「何か不祥事をしたのではないか」と噂されていた、などといった話をしていた。

 当然、今の若林が目先のお金に困っているわけではないし、バイトで稼げる金額など微々たるものだろう。彼は2月18日に行われた東京ドームのライブでもその話を披露していたので、そこで話すためのネタ作りという気持ちもあったのかもしれない。

そこに純粋な労働の喜び

 でも、ウーバーイーツの仕事に若林がそこまでのめり込んでいったのは、新しいことを始めて、そこに純粋な労働の喜びがあったからだろう。

 若林は、年間何百本ものテレビ番組に出るという生活を十数年繰り返している。ほとんど自宅とテレビ局を往復するだけの毎日だろう。そういう人にとっては、テレビの仕事が日常であり、ルーティンワークになる。そこではいまさら褒められることもなく、人の役に立っているという手応えもなかなか得られないのかもしれない。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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