鹿児島県警の前生活安全部長が警察の内部文書を漏えいしたとして、国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕された事件は、鹿児島県警の隠蔽体質を露呈するものとなった。そもそも事件の発端は、鹿児島県警の不祥事の多さにある。県警に情報開示請求したところ、この組織の不祥事の件数は、ここ数年で大幅に増えている。
【開示文書】不適切交際から飲酒、嫌がらせ…鹿児島県警の注意処分台帳
事件は、鹿児島県警所属の警察官の不祥事を隠蔽(いんぺい)する本部長の姿勢に義憤を覚えたという本田尚志・前生活安全部長(60)が、県警の不祥事などをまとめた資料を、ウェブメディアなどで県警を追及していたジャーナリストの男性に提供したことが「守秘義務違反」に問われたという構図だ。
本田前生安部長は、
「鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽しようとしたことが、どうしても許せなかったから」
と主張している。
増えた「不適切交際」
筆者は昨年12月、鹿児島県警に、2019年1月1日から23年12月1日までの同県警所属警察官の処分記録の開示請求をした。その結果、その5年間でハラスメントの処分件数が5倍以上に増えていることがわかった。
19年と20年に2件だったセクハラは、22年には4件、23年には8件に。19年に0件だったパワハラも、23年には5件に増加。奇遇にも野川本部長が鹿児島県警に着任した22年から、ハラスメントの処分数が急速に増えている。
不倫も5年間で増加傾向にある。
警察内部には、「不適切交際」と呼ばれる処分の種類がある。