東京・足立区の住宅街にあるシャッターを製造する会社を訪ねると、高齢の男性2人が真剣なまなざしで設計図と向き合っていた。入社わずか1年半の69歳と、もう一人は6年目の、なんと81歳。現役バリバリの正社員だ。「年齢? 仕事に関係ないよねえ」と2人があっけらかんと話せば、採用した社長も「欲しいと思った人材がたまたま高齢だっただけ」と笑う。どこまでも自然体だ。
足立区にある「横引シャッター」(市川慎次郎社長)。広く普及している上下式のシャッターではなく、左右に押して動かすシャッターを扱っている。一部の製品はKIOSKや地下鉄駅の売店などで採用されている。
社員31人の平均年齢は58・5歳で、65歳以上の社員が13人。その約半数は定年退職後に採用された。
横引シャッターには、高齢者だけではなく障害のある人や外国人も働いている。現代に必要とされる「多様性」を実現しているようにも映る。
どのような狙いで高齢者を積極的に採用するのか。同社では“若手”にあたる48歳の市川社長に尋ねると、こんな言葉が返ってきた。
「ぜひ一緒に働いてほしいと僕が一目ぼれした人が、たまたま高齢だったというだけですよ」