かぼちゃんさんが選ぶ神回/我が家の常識は友だちンちの非常識。そんな心理に気づかされた藤野君の家訪問の記。藤野君の謎の素顔にも心を揺さぶられた人多数。「あたしンち」9巻から ©けらえいこ

「あたしンち」ファンにはつとに知られたファンサイト「あたしンちヶ丘5丁目」の管理人を務める井上照也さん(34)も、この遠回りの回を神回のひとつに挙げている。ほかに井上さんが挙げてくれた神回には、昨年AERAに掲載されたあの回も……。しみちゃんが、なぜかみかんにだけ「深いこと」を言える自分に気がつく話だ。

「2人の深い関係を示した回で、すごく印象に残っています。この漫画の魅力をひとことで言うと、自らが主人公になれるところ。感情移入しやすい、共感できるエピソードがたくさんあるところが魅力です。そして、あたりまえに感じていた日常的、庶民的な暮らしが実は幸せだったんだと感じさせてくれる作品でもあります」(井上さん)

 もうひとり、コミックエッセイ「セキララ結婚生活」で、作者のけらえいこさんにどっぷりハマり、「あたしンち」のディープなファンとなったという、かぼちゃんさん(55)。神回に選んだのは、みかんが学校の帰り道に見ている何げない情景を丁寧に描いた90年代終盤の回や、ユズヒコが藤野くんの家を訪ねる回(40ページ上)などだ。

「藤野くんの回はノスタルジックで、なんだか家庭の事情もありそうで。いつもユズヒコと楽しくふざけてる思いやりのある優しい藤野くんのリアルが見えた感じがして、ジーンとしました」(かぼちゃんさん)

「あたしンち」の母には、いつのまにか自分を重ねるように。

「30年前はまだ生まれていなかった子どもも、今は成人して独立。新たな自分の時間をどうしたらいいか、模索しているところです」(同)

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