組の弱体化で手放した?

 ではなぜ、数百万円もするロケットランチャーが、河川敷の草むらに置かれていたのだろうか。

 福岡県警の捜査幹部は、北九州市という場所柄、工藤会の関与の疑いを否定しない。

「ロケットランチャーなど武器を所有する必要があるのは、工藤会などの暴力団しかない。これだけの軍用の武器を持っていれば銃刀法違反、爆発物取締罰則違反などで懲役10年くらいは食らいます。工藤会は幹部が逮捕され、末端の組員や関係者にまでコントロールがきかなくなっているのではないか。だが、発見された大量の武器には、ここまで揃えていたのかと、ただ驚くしかない」

 工藤会の弁護を何度も手掛けた弁護士を通じて、元組員に話を聞いてもらったところ、元組員は、こう話したという。

「福岡県警の壊滅作戦で、工藤会はトップが逮捕されるなど、厳しい状況だ。確かに、工藤会では抗争に備えて、いくつもの武器庫があった。福岡県警の取り締まり、組の弱体化で、保管が辛くなってきたので、工藤会の組員か、その関係者が夜の闇に紛れて河川敷に置き、手放したのではないか。今の状況からすると、困りはて、やむなく置いたのでしょう。ロケットランチャーなど軍用の武器をひそかに持っていると聞いたことはあったが本当だったようですね。ただ、散歩していた人が簡単にわかるような場所に置いていたというのは驚いた」

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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