プロ野球界でも活躍した興国の喜多隆志監督
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 高校野球の春の地区大会は14日に開幕する東北大会を残しているが、22日には早くも北北海道、南北海道、沖縄で夏の地方大会が開幕し、甲子園出場をかけた戦いがスタートする。昨年は慶応(神奈川)が実に107年ぶりとなる優勝を果たして話題となったが、このようにかつての強豪校が躍進を果たすと甲子園が盛り上がることが多い。そこで今回は今年、夏の甲子園で久しぶりの出場が期待されるチームを5校ピックアップしてみたいと思う。

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 まず真っ先に名前が挙がるのが帝京(東東京)だ。春1回、夏2回の甲子園優勝を誇り、“東の横綱”と言われた強豪も、2011年夏を最後に10年以上甲子園からは遠ざかっている。ちなみにこの時は当時2年生だった大谷翔平(現・ドジャース)を擁する花巻東(岩手)を初戦で破ったものの、2回戦では八幡商(滋賀)に9回に逆転満塁ホームランを打たれて敗れている。

 ここ数年は関東一、二松学舎大付などの後塵を拝することが多かったが、春の東京都大会では昨年、今年と2年連続で優勝。特に今年のチームは力のある打者が揃い、春の都大会、関東大会の10試合全てでホームランが飛び出し、合計83得点を奪うなど強打の帝京復活を強く印象づけた。投手陣には少し不安が残るものの、新基準の金属バットに苦しむチームも多いだけに、その強力打線で一気に東東京を制する可能性も高いだろう。

 東北で復活の兆しを見せているのが学法石川(福島)だ。夏の甲子園の最後の出場は1999年で、近年は福島と言えば聖光学院という時代が長く続いている。しかし2018年秋に長く仙台育成で結果を残した佐々木順一朗監督が就任すると、そこから徐々に力をつけて昨年秋には東北大会で準決勝に進出し、今年春のセンバツ出場を果たした。センバツ本大会では2年生ながら4番で捕手と投手で活躍している大栄利哉を怪我で欠いたこともあり(代打で出場)、初戦で敗れたものの、優勝を果たした健大高崎(群馬)を相手に終盤まで接戦を演じている。得点力に課題は残るものの、手堅い守備が光るだけに、夏も福島大会の優勝候補の一角であることは間違いない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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