伊藤と小島が影響を受けた作品。伊藤は「秋元文庫のジュブナイル的な要素にも影響を受けた。青春時代の感覚に戻りたくて今も漫画を描いているところもある」と話す(撮影/写真映像部・東川哲也)

伊藤:同感です。私も小さい頃は人に見せて評価されたいというより、自分の心を癒やすため、自己セラピー的な感じで漫画を描いていましたから。

小島:うん。伊藤さんもそうだと思いますが、クリエイターは基本的に孤独ですよね。現状では満たされないから何かを作ろうとする。学校が嫌だとか家庭の事情だとか社会に居場所がないとか、理由はいろいろあると思うんですけど、それが出発点です。でも、プロになると変わるんですよ、ここが。

伊藤:よくわかります。私も作家デビューしてからは、楽しみに読んでくれる人のために描く、そのモチベーションの比率が圧倒的に上がりました。ホラーというか、恐怖にもいろいろな楽しみ方があると思っています。自分でも「これは気持ち悪く描けたな」と思うと、ファンの方も喜んでくれることが多いんです。ニキビの脂を搾り出したりとか、もう嫌がらせに近いんですけど(笑)。逆に言うと、自分が楽しくないものは描かないし、描けないですね。

(構成/ライター・澤田憲)

AERA 2024年6月10日号より抜粋

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