黄金時代を築いたのは巨人出身監督
西武を取材する記者は、「外部招聘も有効な手段だと思います」と指摘する。
「西口さんが将来の監督候補であることは間違いないが、松井さんの二の舞は避けたい。チームの土台を作ってから、西口さんが監督に就任してもタイミングとしては遅くない。実際、監督として西武の黄金時代を築いたのは巨人OBの廣岡達朗さん、森祇晶さんでしたから、球団OBにこだわる必要はありません」
では、外部のだれが候補になるだろうか。
現場復帰に意欲的とみられるのが元DeNA監督のアレックス・ラミレス氏だ。DeNAでは16年から5年間監督を務め、リーグ優勝は叶わなかったが、17年に3位からクライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進出。育成能力にも定評があり、筒香嘉智がメジャー挑戦で退団した際は、当時レギュラーをつかんでいなかった佐野恵太を主将と4番の後継者に指名。「荷が重すぎる」と不安の声が上がったが、佐野は期待に応えて首位打者を獲得するなど球界を代表する中距離打者に成長した。打線のつながりを重視し、8番に投手を起用。2番に筒香、ネフタリ・ソト(現ロッテ)を起用するなど独特の采配も話題を集めた。
DeNAの関係者はこう証言する。
「ラミレスはデータを重視した野球が強調されますが、梶谷隆幸(現巨人)、宮崎敏郎などチームの核になる選手は不調になっても我慢強く起用していた。明るくフランクな性格なので、自主性を重んじる西武のチームカラーに合うと思いますよ。投手陣は他球団に見劣りしないので、打線を強化すれば十分に戦えるでしょう」
西武は若手野手陣の一本立ちが最重要課題となっている。育成の観点で考えるならば、元阪神監督の金本知憲氏も検討の価値があるだろう。阪神の監督時代は主力野手の高齢化が進み、若返りが急務だった。高山俊(現オイシックス)、北條史也(現三菱重工West)、原口文仁、糸原健斗ら若手を積極的に起用した。
16年のドラフトでは大学生投手たちが1位指名の有力候補に挙げられていた中で、金本元監督の強い希望で白鷗大のスラッガー・大山悠輔を指名。想定外の名前が呼ばれ、ドラフト会場ではため息が漏れたが、プロ入り後の活躍を見れば間違っていなかったことが証明された。大山は昨年、不動の4番として最高出塁率のタイトルを獲得し、38年ぶりの日本一に貢献した。2年連続最多勝を獲得した青柳晃洋も金本氏の要望で獲得した投手だ。制球難で他球団の評価が高いとは言えなかったが、金本氏は変則的なフォームから投げ込まれる直球の球威に注目し、ドラフト5位で指名。課題を克服してエースに成長した。
西武には山村崇嘉、長谷川信哉、村田怜音ら強打者に進化する可能性を秘めていた素材がいる。ドラフト戦略を含めて金本氏が監督に就任したら打線をどう構築するか興味深い。