「この曲のデモテープの仮歌を私が歌うことになりました。その後仮コーラスをレコーディングしたころかな。長戸大幸プロデューサーに連れられて、泉水ちゃんがスタジオに現れました」

 大黒さんはコーラスとして、すでに数々のレコーディングに参加していた。

「厳しく、荒々しいミュージシャンの中でもまれていた私の目には、とても瑞々しく映りました。泉水ちゃんは礼儀正しく挨拶をして、丁寧に言葉を選びながら話してくれました。品の良さを感じたことを覚えています。眩しかった」

 以来、大黒さんにとって「Good-bye My Loneliness」は特別な曲になった。その後、「愛は暗闇の中で」「IN MY ARMS TONIGHT」「汗の中でCRY」「負けないで」「君がいない」(シングルバージョンのみ。アルバムバージョンは坂井泉水)「揺れる想い」など多くのZARDの曲に大黒さんはコーラスで参加している。

「ZARDのナンバーの中で、泉水ちゃんとの出会いの曲である『Good-bye My Loneliness』は私がもっとも好きな曲の1つになりました。それと、『揺れる想い』も私にとって大切な曲です。泉水ちゃんが指名してくれて、スタジオでコーラスラインを考えるときには2人で一緒に歌いました。この曲を聴くと、今も涙が溢れます」

 そんな大黒さんが思う、シンガーとしての坂井さんの魅力とは――。

「“心に届く歌”を歌ってきたこと、そして、“ナチュラルに言葉を伝えられる”力です。シンガーというのは、キャリアを重ね、レベルアップすると、どうしてももっとうまく歌いたいと思ってしまいます。すると、知らず知らずのうちに、言葉や想いを伝えることが後回しになってしまう。でも、泉水ちゃんは違う。シンガーにとって何が大切かを常に意識して、大切にして歌っていました。だからこそ、泉水ちゃんの歌は、年月を経てもファンの皆さんの心に寄り添い続けているのだと思います」

 一方、作詞家としての坂井さんの魅力は――。

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