最初はオーディションに落ちていたという。「こんなに大勢のなかから選ばれるかどうかは、もう自分のせいじゃない。相手が自分を見つけてくれるかどうかだ。そう悟ったら、落ちても気にならなくなりました」(河合)(写真:篠塚ようこ)

「いま取材で『河合さんって、どんな人なんですか?』って聞かれる事がすごく多いんです。最初に会う方に構えられちゃうみたいで、そこはちょっと反省しています。なんとなく怖いとかクールとか、話しづらいんじゃないかって。みなさん話しましょう! 大丈夫ですよ!って言いたいです」

 よかった! たっぷり話していただきましょう。

ホームビデオの「名作」母の言葉でいじける姿が

 河合は2000年、東京都生まれ。3人姉妹の長女だ。実家の周囲には畑や緑があり、土に触れながらのびのびと育った。小さいころから過度に物事に集中する子で、道ばたの石や葉っぱが気になるとそこから動かなかったとよく親に聞かされた。言葉を覚えるのが早く、本もよく読んだ。「どこで覚えたのその言い方?みたいなことを言う、生意気な子だったと思う」と振り返る。

 両親は映画や演劇、音楽が好きでホームビデオもよく撮っていた。家族のなかで「名作」と言われるビデオがある。母が幼い妹たちにカメラを向けているとき「見て、見て!」とさかんに母に話しかけている自分。その後、母の「優実やめて」の声とともに画面が暗転し、次のカットには離れた場所でいじけている自分が映っている。

「注意を引きたくてしょうがない様子が克明に映っていてもう痛々しくて(笑)。きっと妹たちに家族の興味がいっちゃうのが嫌だったんでしょうね」

 絵を描くのが好きで、幼稚園から小6まで絵画教室に通った。クレヨン画からはじまりデッサン、水彩、油絵と一通りを習い、模写も得意だった。

 小3から始めたのがダンスだ。妹が先にバレエを習い「自分もやりたい」とヒップホップ系のダンススクールをみつけた。これが楽しかった。

「見たものを模倣するのが得意というか。振り付けを覚えるとか、絵を描くとかもそうですけど、特定の動作をスッと体に入れるのがけっこう早いかもしれないです」

 人前に出るのも苦ではなく、小・中学ともに学級委員を務めた。最初は誰も手を挙げない時間がいやで手を挙げたことからはじまったが、だんだんと「河合さんやりなよ」的なポジションに。が、ワイワイ賑(にぎ)やかなタイプかというとそうではなく、小学校の通知表に「教室を後ろから見て支えてくれている人ですね」と書かれたこともあった。

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