AERA 2024年6月10日号より

金融庁の認可なし

 SNSなどで自称専門家の一般人が「新NISAの対象投信は金融庁が認めたお墨付き(だから安心)」と言い切るケースを目にするが、間違いだ。金融庁は信託報酬や運用年数など一定の条件を示しているだけ。「認可」してはおらず、お墨付きなど無い。運用会社側は、示された条件に合った投資信託を自ら届け出るだけである。特に「アクティブ投資信託等」は、一定の条件を満たしつつ設定から5年経てば「つみたて投資枠対象」として届け出ができる。5年経つまでは「成長投資枠」なら買える形にする運用会社が多い。新NISAで新商品が増えたが、5年後には諸条件を満たす投資信託が「つみたて投資枠のアクティブ投資信託等」に続々入ってくるだろう。

 アクティブ投資信託等のほうは玉石混交である。なお成長投資枠対象の投資信託に至っては、つみたて投資枠より条件がゆるく「石だらけ」だ。ちなみに成長投資枠対象の投資信託は1915本(投資信託協会、5月15日付)もある。多すぎ。新NISA対象の投資信託=良い投資信託というわけではない。

 長期・積み立て・分散で資産形成をしたい人は、新NISAつみたて投資枠の「指定インデックス投資信託」から売れ筋を選ぶのが無難だろう。こちらも金融庁の認可はないが、「S&P500」や「MSCIコクサイ」など国が指定するインデックス15種類に連動するものしか対象にならない。「金融庁 つみたて投資枠対象商品届出一覧」で検索すればリストが見られる。

 最後に、直近の売れ筋も紹介しよう。SBI証券経営企画部の粟津優香さんに聞いた。同社はネット証券の預かり資産最大手であり、NISA口座は476万(24年3月末)を獲得。

「4月の1カ月間で、新NISAの積立設定金額1位は『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』、2位は同『米国株式(S&P500)』です。4位に、やはりeMAXIS Slimの『国内株式(日経平均)』、5位に同『国内株式(TOPIX)』、6位に『日経平均高配当利回り株ファンド』、9位に『SBI日本高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)』と日本株の投資信託4本がベスト10入りしています。『iTrustインド株式』『HSBC インド・インフラ株式オープン』なども売れています」

(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)

粟津優香さん(あわづ・ゆうか)(24)/SBI証券経営企画部で広報業務などを担当。プロパー入社後3年ながらマネー関連の知識はベテラン級(撮影/写真映像部・上田泰世)

AERA 2024年6月10日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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