「『自民党返り』をしている小池さんでは改革はできない」。そう言って行政改革の旗手・蓮舫氏が東京の顔に名乗りを上げた。次期衆院選の代理戦争と位置づけられる都知事選。都民はどちらを選ぶのか。AERA 2024年6月10日号より。
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立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が5月27日、東京都知事選(7月7日投開票)に無所属で立候補する意向を表明した。すでに広島県安芸高田市の石丸伸二市長(41)も出馬表明をしているが、現職の小池百合子氏(71)も立候補の意向が伝えられている。蓮舫氏と小池氏の事実上の一騎打ちとなりそうだ。
蓮舫氏は立憲と共産党が支援する。なぜ、蓮舫議員なのか。
「よほど知名度の高い人でなければ小池さんに対抗できません。過去の選挙で蓮舫さんが最も票を取った時は約170万票。野党としては考えられる最良の候補者を担ぎ出したということでしょう」
と話すのは政治とメディアの関係に詳しい日本大学の西田亮介教授。蓮舫氏が会見で「自民党の延命に手を貸している」とした小池都政をこう分析する。
「背景には小池さんが女性初の総理大臣への意欲を諦めていないことがあると思います。いま政治とカネの問題で自民党が弱っているからこそ、『ワンチャンある』と。ダメでも年内と見られる次の衆院選で国政に電撃復帰する選択肢もあり得るのでは」
蓮舫氏は無所属で出馬
小池氏は5月29日の都議会本会議の所信表明演説では出馬を表明しなかった。
「都知事選への言及を後ろ倒しにして引っ張っている気がします。発言しなくてもメディアやSNSでは臆測を呼び、むしろ関心が高まる。知名度の高い小池さんにとってメディア戦略はそれで十分です」
そんな小池氏の姿勢を「小池劇場はもう始まっている」と評するのは、法政大学大学院の白鳥浩教授(政治学)だ。
「5月28日に都内の52区市町村の首長や都民ファーストの会、そして公明党都議団が小池さんに出馬要請しました。翌29日の都議会は本来なら立候補表明に適した日だったはず。肩透かしを食らわせることで関心を引き、いつ表明するのが最もセンセーショナルかを考えながら自分の『劇場』を作っていく。区市町村長は小池劇場の単なる登場人物であり、主役は小池百合子。私たちはある意味、もう小池劇場に取り込まれている」