中日・小笠原慎之介
この記事の写真をすべて見る

 中日小笠原慎之介にとって今季は野球人生の分岐点になりそうだ。

【写真】イチローだけじゃない!MLBの年金額「満額支給」の日本人選手がこちら(ほか3人)

 2023年1月には自主トレ先の沖縄・北谷で「メジャーは小学校からの夢。夢が現実になるのも、ここ数年が勝負になる」と口にしているように、キャリアの重要時期を迎えていることを本人が誰よりも理解している。

 今季は打線の援護がなく、2勝(4敗)にとどまっているが、防御率はリーグ5位(1.72)と安定したピッチングを見せている。夢への思いを語ってから1年以上が経つが、メジャーリーグへ思いはさらに強まり成功への手応えも感じ始めているようだ。

「シンノスケの気持ちは本物。ポスティング制度を利用しての移籍を球団が容認するのが前提だが、それを信じて周到な準備をしている。米国で結果を出せるように、日々モチベーション高く練習に取り組んでいる」(中日関係者)

 昨年12月の契約更改時にも「(昨シーズンの160回2/3の投球回は)あと少しで向こう(メジャーリーグ)の規定の162だった」とコメントしており、メジャーを強烈に意識しているのが伝わってくる。

 現在26歳の小笠原は今季がプロ9年目。2015年には東海大相模のエースとして夏の甲子園でチームを優勝に導き、その年のドラフト1位で中日に入団した。1年目から2勝を挙げるなど、早い時期でのブレイクも予感させたが、その後はなかなか殻を破れない時期が続いた。

 だが、2021年に8勝をマークすると、翌年には自身初の2ケタ勝利となる10勝を挙げ、防御率も2.76(リーグ6位)と素晴らしい結果を残した。昨年は少し成績を落としたが、今季は開幕から好調を維持し、キャリアベストへの期待も高まる。

 とはいえ、通算成績は43勝58敗、防御率3.57。メジャー移籍には“物足りない”という評価も少なくないが……。

「ここまでの成績から過小評価されている。球のキレの良さと制球力が素晴らしく、強豪球団に所属していれば最多勝争いをしていてもおかしくない。カブスで大ブレイク中の今永昇太と似たタイプなので米国でも通用する可能性は決して低くないでしょう」(MLBアジア地区担当スカウト)

次のページ
“今永効果”がある今が最高の売り時?