シャッターが切られるたび、瞬時に表情を変えていく。凛とした姿が印象に残った[撮影:蜷川実花/hair & make up 犬木 愛(AGEE)/styling 中井綾子(crepe)/costume Max Mara Gianvito Rossi TASAKI]
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 映画「かくしごと」で記憶を失った少年を自らの意思で引き取り、認知症の父とともに暮らす千紗子を演じた杏さん。年齢を重ねたことで得た心の変化、そして現在の暮らしについて語った。AERA 2024年6月3日号の記事を紹介する。

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――撮影現場でのあり方は、年齢を重ね変わってきているという。

杏:振り返ると、20代の頃の私はいまよりも“角”があったなと感じます。いまは同じことを口にするにしても「すみませんー!」なんて明るく言いながら、笑顔で乗り切ろうとするようになったかもしれません。

 決して「主張をしない」「遠慮して言わない」ということではなく、「私はこれが好き」「これがいいと思う」と言っておくのも大事だな、と。それを押し通すわけではないけれど、まずは口にしてみる。誰かが先に意見を言うことで、「私はこう思っていた」「意見を言ってみようかな」といった空気が波及していって、物事が進んでいくこともある。30代になった頃から、「とりあえず、自分が切り込んでいく」ということができるようになった気がします。

――そうした考えに至るような背景には、何があったのだろう。

杏:子どもを持つと、人から助けられることも多くなって。撮影現場でも、早めに撮影を終えられるようお願いするなど、周囲の方々に調整していただくこともあるので、必然的に人との関わりが増えていく。「自分も何かできることはないかな」と思うようになりましたし、見知らぬ方ともよく話すようになりました。道端で「暑いですね」と声を掛けてもらうこともあれば、こちらから「お手伝いできることはありますか?」と声を掛けるようにもなりました。そうした変化は自分でも感じています。

「記録」に残す面白さ

――2022年にパリと日本の2拠点生活を始めたことで仕事の仕方も、表現の仕方も変わった。

杏:夜に時間があるときにインスタグラムを通して発信したり、まとめて時間が取れるときにYouTubeの準備をしたり。選択肢が増え、隙間時間で発信ができるので、いまのライフスタイルに合っているなと感じます。

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