発達障害の人の中には、定型発達の人が持ち得ないような優れた能力を発揮する人もいます。適材適所の考え方や、個性を伸ばす働きかけによって、人生に素晴らしい花を咲かせるお手伝いをしてあげたいものです。
 

同じ“後回し”でも、ASDとADHDでは原因と対応策が異なる

 “やらなければいけないことを後回し”はASDとADHDに共通して見られがちですが、ASDの人は、“優先順位がつけられない”という特性によることが少なくありません。Oさん(30歳・女性)は複数の仕事が重なると、どれから手をつけていいかわからなくなります。

 一方、ADHDのDさん(25歳・男性)は、電話やメールが入ったりすると、注意散漫な特性から、ついそちらの処理に気をとられ、結局、重要案件のほうは時間切れに。
 

ASDの人には、「〜をいつまでに」と明示してあげましょう

 メールで送ったり、メモをとってもらったりして、後から本人が確認し直せるようにしておくと、「これは最重要」と意識に刷り込まれていきます。ADHDの人に対しては、気が散らない環境を用意してあげましょう。また、緊急の案件を頼むときは「邪魔が入らない作業室に行ったら?」などと声をかけてもいいですね。職場環境によっては完璧にはいかないと思いますが、できるだけ雑音の少ない環境へ誘導してあげてください。

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岩瀬利郎

岩瀬利郎

いわせ・としお/精神科医、博士(医学)。東京国際大学医療健康学部准教授。埼玉石心会病院精神科部長、武蔵の森病院院長、東京国際大学人間社会学部専任教授、同大学教育研究推進機構専任教授を経て現職。精神科専門医、睡眠専門医、臨床心理士、公認心理師。メディア出演も多数。

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