選挙プランナー・松田馨さん(まつだ・かおる、左):1980年生まれ。地方選挙や衆議院総選挙など、300を超える選挙に携わる。また、無所属や新人候補の選挙も引き受け、高い勝率をほこる/フリーランスライター・畠山理仁さん(はたけやま・みちよし):1973年生まれ。「立候補者全員を取材する」をモットーに、国内外の選挙を取材。その取材の様子は映画「NO 選挙, NO LIFE」で見られる(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 4月に行われた衆院東京15区補選で、他陣営の選挙の妨害をしたとして、政治団体「つばさの党」の幹部3人が逮捕された。長年選挙の現場を取材している畠山理仁さんと、選挙プランナーの松田馨さんが事件について語り合った。AERA 2024年6月3日号より。

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松田:選挙プランナーとしては、逮捕されてホッとしたというのがあります。映像で確認し、現場にいた方のお話も聞いた上で、「選挙の自由妨害罪」が成立するだろうと思っていました。過去の判例から考えれば有罪になり得る事案ですから、きちんと現行法の中で取り締まりが行われて良かったです。

畠山:つばさの党は別陣営の候補者の演説へ行き、有権者に聞こえないほどの音量で「質問をしにいく」という選挙運動でした。切れ目なく大声を上げるので、他の候補者はまともに選挙演説ができませんでしたし、演説を聞きたい有権者も聞けない状態。本来、街頭演説とは候補者の主張を聞き、有権者が誰に投票するかを判断するためのものです。自分たちの権利を主張したいんだったら、もう少し違うやり方があったのではないかとは思います。

松田:今後、裁判の行方を見ないといけませんが、特別捜査本部も作られたので、徹底的に捜査されるでしょう。

畠山:なぜ妨害行為をしたかというと、街角で真面目に話をしても誰も聞かず、聞いてもらうためにはまず存在を知ってもらう必要があると。迷惑になることを自覚しながらも、注目を集めないといけないなどと主張していました。

松田:それは、選挙妨害した理由を、有権者のせいにしているように受け取れますね。そもそも街頭演説は聞いてもらえないのが当たり前で、つばさの党に限らず、無所属の人や新人候補者はもちろん、自民や立憲の候補者ですら、全く人がいないところで演説をしている人はいくらでもいますよ。

有権者の権利が奪われた、根底に根強いマスコミ不信

畠山:候補者は自由に選挙運動をする権利はありますが、今回のつばさの党は、自分たちの権利だけを主張して、相手の自由を尊重しないということが非常に大きな問題でした。

松田:そうですね。彼らは「候補者」であるから、自分たちの行為は違法でないと主張もしていました。確かに街頭演説の標旗を掲げれば、どこでも演説をする権利は認められています。でもその一方で、他者の演説を妨害することは違反であると、公職選挙法(公選法)で定められていますから。

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