先の野尻さんは続ける。
「個別株の場合、配当が出ると理論上はその分、株価が下落します(配当落ち)。
ETFや投信も分配金が出れば、基準価額はその分、下がります。
ETFの場合、中身の銘柄から配当が出たら、費用などを控除した残りすべてを投資家に支払うよう法律で定められています。
一方、投信の分配金は、『企業からの配当だけでなく値上がり益などからも分配金を出していい』というルールであり、場合によっては複利効果でもっと効率よく増やせたはずの投資リターンを先食いすることになりかねません」
実際には個別株の株価も投信の基準価額も、配当や分配金の支払い後に資産そのものの価格変動で値上がりしたり値下がりしたりする。
そのため、配当や分配金の分だけきっちり下がることはほぼなく、見分けがつきにくいが「もらった分、価格は下がっている」。
配当や分配金をもらうことが悪いというわけではなく(ここだけは誤解しないでほしい)、資産を減らして受け取っているという「事実は知っておきたい」。
そのうえで値上がり益=キャピタルゲインを重視するか、配当や分配金=インカムゲインを重視するかを決めればいい。どちらにするかは人により変わってくる。
投資信託の選択肢3つ
「1円でも多くお金を増やしたい、1円でも多く節税したい」なら分配金を出さずに投信内で再投資するタイプのインデックス型投信。
「資産形成中も分配金を受け取って日々の生活を豊かにしたい」なら分配金を出すタイプの投信やETF。
「資産形成中の分配金はいらないが、老後は分配金を受け取りたい」なら新NISAの非課税枠が少し減ることを承知で分配金の自動再投資コースを選ぼう(老後になったら分配金受け取りコースに切り替えてもいい)。
なおETFは分配金の自動再投資ができないため、自分で(手動で)再投資する。
分配金が出ない投信で老後に「分配金っぽく」受け取りたい場合、SBI証券と楽天証券には自動売却サービスがある。