サウジの人権問題へは関心を持たない

 一方で、サウジ政府の人権侵害や報道弾圧などについては見て見ぬふりを続けている。

 おそらく、今回も、サウジの状況について何も知らない国民に対して悪い情報は隠したままで、アラビアのプリンスがやってきたという華やかな雰囲気を作り、彼らの超超超金満家ぶり(お金の使い方が常識はずれで、それを追いかける報道が過熱するはずだった)やMBSのアニメ好きの一面などを面白おかしく報道させて、裏金問題などの不都合なテーマから国民の気を逸らすのに好都合だと計算していたことだろう。

 今回この件を取り上げたのは、二つのことを言いたかったからだ。

 一つは、日本のマスコミが、世界では強い関心を集めているサウジの人権問題に全く関心を持たない、というより、問題に気づくことさえできず、従って報道もしないということだ。

 5月14日配信の本コラム(日本が今でも「報道の自由度」70位に低迷する理由 安倍政治で“変えられてしまった”記者たちの末路)で指摘した日本の記者の質の劣化・変質をものの見事に示したと言っても良いだろう。

 もう一つは、サウジと中国の比較だ。

 日本人の多くは、中国では、人権侵害がひどく、報道の自由もないと思っている。

 一方、サウジについては、砂漠の大産油国ということ以外あまり知らないだろう。報道の自由や人権の状況がどんなものかということは、日本政府がスルーし、マスコミも報じないので、知る術がないのだ。

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サウジには一言の苦言も呈さない