2017年、岸田文雄首相(当時は外相)の表敬を受けたサウジアラビアのサルマン国王

人権団体はサウジ皇太子を批判

 また、サウジ政府は、「ザ・ライン」の建設予定地に入った既存集落で立ち退きを拒む住民に弾圧を加えるだけでなく、最後は殺害することまで許可し、実際にある住民が殺されたことをサウジの元情報機関の幹部が証言したと英国BBCが報じた。

 当然のことながら、世界の人権団体は、MBSを強く批判している。

 例えば、今回の訪日が発表されると、人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチは、岸田文雄首相は、サウジの事実上の支配者MBSに対して、公に人権を尊重するよう働きかけるべきだとの見解を表明している。

 彼らによれば、サウジ政府は、女性の結婚離婚、そして子どもに関する判断について差別的な規定が含まれる「個人身分法」を制定して女性に対する男性後見人の制度を導入したが、この法律は、結婚におけるドメスティックバイオレンスや性暴力を促進しているとされる。また、サウジ政府は女性の権利を守る活動を含めて人権活動を行う活動家やジャーナリストを厳しく弾圧し、また外国人労働者の権利も侵害していると批判している。

 しかし、日本のマスコミは、人権意識が希薄なので、今回のMBS訪日が発表されても、こうした問題を報じなかった。

 岸田首相は23年7月にサウジアラビアでMBSを訪問した際、「日本企業のサウジアラビアへの投資の関心は高く、今回も多数の企業が経済ミッションとして同行している」と述べたり、「国際の平和と安全に関する諸課題への対応において、引き続きサウジアラビアと緊密に連携していきたい」などと発言したりして、無条件にサウジとの関係強化を図る姿勢を示していた。

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