台湾に武器を売り込んでいるのは誰か

 しかし、現実には、日本政府が米国とともに、ことあるごとに中国を「悪の帝国」であるかのように宣伝し、国民を洗脳して、今や、普通の国民が、「中国と戦争することもありうる」というとんでもないことを口にする世の中になってきた。

 この状況を一言で言えば、米国の口車に乗せられて、米国隷従の日本政府が、国民を欺いて米国から離れられない状況に自らを追い込み、その結果、国民を米中戦争に巻き込む準備を進めているということになる。

 MBSの訪日が延期された5月20日、中国大使が日本の有識者十数名と台湾問題についての意見交換の場を設けた。その席上で、中国大使が、「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言したが、日本のメディアはその部分だけを取り上げて、センセーショナルに報じた。日本政府も直ちに中国側に厳重に抗議したと林芳正官房長官が明らかにして、国民の反中感情を煽っている。

 実は、筆者は、この会議に有識者の一人として出席していたが、大使の発言を聞いていて特に違和感は抱かなかった。

 どうしてそんなに大きな騒ぎになるのかと思って大使の発言を見返してみると、発言の前に、「長きにわたって台湾に武器を売り込んでいるのは誰なのか。中国の周辺で軍事的なグループを作るのは誰であるか。答えははっきりしている」という発言があった。これは明らかに米国のことを指している。つまり、米国に従って中国分裂に加担すれば、米中戦争に巻き込まれることになるのですよと警鐘を鳴らしていたのだ。筆者がこれまで述べたことと全く同じ話だ。

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