SBI証券投資情報部シニア・マーケットアナリストの榮聡〈さかえ・さとし〉さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・上田泰世)
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本誌に寄せられた「新NISA2000人アンケート(*)」の質問で一番多かったのは「運用期間中、どれぐらい下がる可能性があるか?」という質問。投資ビギナーが最も気にしていたのは損失リスクだった。そこで、過去の値動きから想定される最大損失額を検証する。

【図3つ】全世界株式、S&P500、TOPIX「30年の暴落ワースト3」は何%?

【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2024春夏号」から抜粋しています】

リーマン・ショック悲惨

 過去の株価暴落の事例を調べれば、これから大きな下落に見舞われたときもパニックにならず冷静に対処できるだろう。

 検証したのは、日本の東証プライム全銘柄が対象の株価指数TOPIX(東証株価指数)、世界中の優良企業の株価を指数化した全世界株式(MSCIのオール・カントリー・ワールド・インデックス)、米国の代表的な株価指数S&P500の3つ。これら3つの指数が過去30年間に記録した下落率ワースト3をグラフ化した(画像参照)。

 検証してくれたのは、SBI証券投資情報部シニア・マーケットアナリストの榮聡さんだ。

 新NISAでは「円建て」で海外株のインデックス型投資信託を買う人が多いため、検証する指数もそれに合わせて「配当込みのトータルリターン、円換算ベース」とした。

「3指数のいずれも、ここ30年で最も下落率が大きかったのは2008年に発生したリーマン・ショック。2番目は2000年のITバブル崩壊でした」

全世界株式は61%下落

 リーマン・ショックで全世界株式は1年4カ月下がり続けて61.6%の下落、S&P500は1年9カ月下がり続けて59.9%の下落、TOPIXは1年8カ月下がり続けて56.2%の下落。

「約1年半で半分以下まで暴落したわけで、ショッキングな出来事でした。今後20~30年、これよりも下がることはないとはいえませんが、確率は低いでしょう」

 リーマン・ショックは米国の住宅バブル崩壊が引き金になった暴落。まず、信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)が大量に焦げ付いた。

 危機が深刻化したのは、その住宅ローン債権を証券化した商品を多くの金融機関が購入していたから。特に多く持っていたリーマン・ブラザーズが資金繰りに窮し、倒産した。

 リーマン以外の金融機関は疑心暗鬼となり、お金の貸し借りを渋った。それが世界的な信用収縮に発展し、歴史的な株価暴落へ––––。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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全世界株式が元に戻るまで何年かかった?