「黄色いワッペン」とランドセルカバーに守られて登校する児童

ワッペンは役割を終えたのか?

 また、同じ交通安全が目的なら、「ランドセルカバー」もある。ランドセルカバーは全国各地の交通安全協会などが交通事故防止のために配布しているもので、蛍光黄色で、反射素材がついているものもある。視認性は、小さなワッペンより圧倒的に高い。

 交通事故防止としても、保険としてもあまり意味がないのだとしたら、黄色いワッペンは役割を終えたのだろうか。

 みずほFGは、ワッペンには一定程度、交通事故を防止する効果があるという。その理由として、最近のランドセル事情を挙げた。

「ランドセルカバーの視認性のよさはもっともではありますが、最近のランドセルは多様化しており、形状や素材によっては装着できないものがあります。ランドセルでない、リュックタイプのかばんを採用する学校も増えています」(みずほFG)

保険料の負担が発生しない

 また、ワッペンの交通事故傷害保険は、災害共済給付制度や児童・生徒総合補償制度とは違い、保険料の負担が一切発生しないことがメリットだという。

「『黄色いワッペン』贈呈事業会社で保険料を全額負担しており、保護者の方の経済的状況に左右されずに補償されるため、意義があるものと考えております」(同)

 みずほFGによると、「親子3代にわたってワッペンを着用しました」という声も聞かれるようになった。記者自身、母親に黄色い腕章をつけてもらい、小学校に通った思い出がある。

「黄色いワッペン」を校帽につけて登校する児童=米倉昭仁撮影

安心安全を記念するシンボル

「ワッペンの社会的な認知度は高く、ワッペンそのものが新小学1年生の安心安全を祈念するシンボル的な存在と考えております」(みずほFGからの回答)

 みずほFGや損保ジャパンはフリマサイトの運営事業者への違反品申請を行っているほか、今後の状況を注視したうえで、さらなる申し入れや別途協議なども含めて対応していくという。

 ワッペンが出品(5月13日現在)されているメルカリに説明を求めると、「コメントは差し控えさせていただいております」と回答があった。

 損保ジャパンによると、ワッペンに「転売禁止」と書かれてはいるが、保険証券ではないため、フリマサイトの出品ルールには違反しないらしい。

 ワッペンには子どもたちの安全への願いが込められている。転売する前に、立ち止まって考えたい。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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