伊藤ひろみさん
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 世界では、「子どもの出自を知る権利」が重要であることが議論されている。精子バンクからの精子提供で子どもが生まれたとき、人々はどのような問題に直面するのだろうか。いまも当事者たちと交流を続けている伊藤ひろみさん(41)に聞いた(全3回のインタビュー3回目)。

【写真】ドナーの精子を凍結する様子

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千人以上と関わり100人以上が誕生

―― 伊藤さんは2019年から今年1月まで、世界最大の精子バンク・クリオスの日本窓口ディレクターを務めていました。在任中に、どれくらいの人と関わりましたか。

伊藤 入社当初はメールや電話で寄せられる日本からのすべての問い合わせに、1人で対応していました。途中からカスタマーサービス担当が数人入社し、私は婚姻夫婦の面談と一部の未婚女性への対応を行いました。最終的にクリオスを利用しなかった人も含め、関わった女性の数という意味では、1000人は軽く超えています。国内での利用者数として公表されているのは、3年半で500人超。在籍した5年ではもっと多い人数です。

精子凍結の様子(クリオス提供)

―― クリオスを通じて、提供精子で生まれた子どもは、日本に何人くらいいるのでしょうか。

伊藤 3桁、とだけお伝えします。クリオスを通して、私がいなければ生まれることのなかったかもしれない命がたくさん生まれました。それは私にとっても、かけがえのない喜びでした。また、赤ちゃんを授かることができなかった夫婦や女性のことも忘れることはありません。そこでつながった人との関係に終わりはありません。

精子回収室の様子(クリオス提供)

連絡を取り続ける理由

――クリオスを辞めても、知り合った人たちとも連絡を取り続けているということですね。なぜでしょうか。

伊藤 はい、私から連絡を絶つことはありません。

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私がやるしかない