部活指導の魅力もあると思う。 

 大会で勝って生徒とともに味わう達成感は何ものにも代えがたいし、頑張る生徒を応援したい思いも強い。20年に3年生の最後の大会が新型コロナウイルスの影響で中止になったときは、一緒になって本気で悲しんだ。

 ただ、最近は疑問を感じることも増えてきた。20年3月から3カ月ほどの一斉休校では部活がなくなり、少しだけ休むことができた。教員を10年以上やって、5月の大型連休をまるまる休めたのは初めてだった。

 だが21年になると一転、緊急事態宣言下でも練習することになった。教育委員会が、試合の2週間前は活動できる方針を示したからだ。常に試合があるサッカーでは、ほぼ制限がないに等しかった。分散登校の際には、授業のない一部の生徒を夕方に登校させてまで練習した。「感覚がまひして、慣れっこになってしまっている」という気もする。

 やりたい授業があるのだが

 教員としての本来業務も決して楽ではない。社会科を週に18コマ教える。受験する高3生の授業もあり、空きコマは予習に追われる。本当は生徒が主体となって議論したり、考えさせたりするような授業を多くやりたい。だが、なかなか踏み込めない。やろうとすると準備により時間がかかるからだ。 

 放課後は、毎日のように様々な議題の会議がある。

 今年度から配られたタブレット端末の閲覧制限などのルールづくり。

 学校の生徒募集の今後について。

 社会科全体の授業方針の確認。

 それぞれ、事前に資料づくりも必要になる。

 教えている教科について、生徒から質問がくることもある。成長がうれしくて、長時間対応することもある。平日夕方の部活は基本、生徒に任せているが、生徒からの相談やけが人があれば、グラウンドにも出ていく。結局、退勤は午後8時ごろになる。

 管理職は会議などでたびたび、時間外労働を減らすよう呼びかける。だが、出退勤時にタイムカードを押すと、自然と残業は月100時間を超える。そのたび、自治体の産業医が面談のため、学校にやってくる。100時間を超えると受けなければならない決まりだからだ。やるべき仕事が多く、正直、その面談に費やす時間さえも惜しい。

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ガイドラインができたのに、長時間労働は増えた