これまでQBハウスは男性を主なターゲットにしていたが、担当者は「若年層の女性が増加傾向にあります。10年前と比べて女性客は1.3倍の増加で、全体の2割以上が女性です」と明かす。

 女性増加の流れはQBハウスだけではないようだ。ライバル店の関係者も「ここ十数年で増えてはいます。毛先やアホ毛を切って整えるだけの女性客が多く、中には画像を持ってきて具体的なヘアスタイルの指示をする人も。女性客の増加を受けて、待合スペースの仕切りを設置したりしています」と内情を打ち明ける。

「安価で技術があれば」

 格安ヘアサロンに、なぜ女性が増えているのか。美容室の経営コンサルティングを10年以上にわたって手がけてきた「フロンティア・マネジメント」の近藤俊明マネージングディレクターは、こう解説する。

「いま若年層では、最低限のスキルで理想の髪形にしてほしいという傾向があります。家の近くにあって、3千円以下で済ませられる。そして、SNSの写真通りに切ってくれるヘアサロンがあればいいんですよね」

 リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが2022年、全国の15~69歳の男女各約7千人を対象にしたインターネットでの調査によると、美容室または理容室1回あたりの平均利用金額は女性が7345円、男性が4553円だった。男女ともに12年の調査開始以来で最高だった。

 一方、美容室の年間の利用頻度は、女性で最も多かったのが「2~3回」(32.6%)、そして4~5回(23.3%)と続く。そして20代、30代の女性の約4割弱が、「2~3回」と答えた。

 近藤氏によると、自分の希望通りの髪形にしてもらえる一方で、高い料金がかかる美容室に行く回数は抑え、毛量の調整や枝毛を切るなどのメンテナンスカットのために格安ヘアサロンを利用する人が、ここ10年で増えてきているという。さらにここ数年は、「全て格安ヘアサロンで済ましてしまう若年層も増えている」と近藤氏は話す。

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技術力も「売り」に