そうするうちに、自然と見た目以外も変わっていった。
「食事の写真を撮ってトレーナーさんに送っているんですけど、ちょっとだけ盛り付け方とか色味を考えるようになりました。昼ご飯が茶色ばかりだったら、夜ご飯では緑を増やすようにしたり」
結果的に競泳に生かされた。
「水泳とは違うものに目を向けることでリフレッシュできたし、水泳を難しく捉えすぎないよう気持ちを持っていけるようになりました。ストイックになりすぎない、モチベーションの上げ方でしたね」
パリ五輪代表選考会では所属するミキハウスのキャラクターをネイルにデザインした。
最近の息抜きも充実しているという。
「もともとインドアなゲームが好きなので、ゲーム実況者さんのユーチューブとか、アニメを見ています。代表合宿の期間中は『葬送のフリーレン』とか『マッシュル』とかの人気作品を見て、競泳代表のキャプテンでもある水沼(尚輝)選手と『この作品見てますか』『見てるよ』と話していました。家に帰ってからは、久々にモンハンでちょっと遊びました」
リオ五輪の前は不安もあったという鈴木だが、今は違う。
「ロンドン五輪当時の、楽しみで仕方がなかった気持ちで臨めたらなと思っています。自信があればあるほど、レース当日でもいい緊張感を持って、臨むことができると思いますし、レース中でも冷静に自己分析、試合運びができると思います」
再びの五輪。目標は?
「(パリ五輪平泳ぎ代表の)青木(玲緒樹)選手ともよく話してるんですけど、お互いに後半が課題だと思うので、前半は30秒4で入って、そこからタイムを落とさずに、後半を34秒台で泳ぐことができれば、日本記録や表彰台、メダル獲得は確実に見えてくると思います」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2024年5月13日号