働きながら子どもを産むか、産まないか。女性にとって大きな決断だ。映画コメンテーターのLiLiCoさんが、「仕事と子ども」を語る。AERA 2024年5月13日号より。
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18歳で来日してデビューしましたが全く売れず、辛酸をなめる生活を送りました。転機は、31歳でTBS系「王様のブランチ」の出演が決まったことです。その前年に最初の結婚をしていますが、長い下積みの末、やっとチャンスが舞い込んできたこともあり、子どものことは後回しに。6年ほどの結婚生活で、何度か子どもについて考えたことはありましたが、「大きな仕事のオファーが来た時、子どもを足かせに感じてしまうかも」と考え、気持ちにストップをかけていました。
仕事が軌道に乗っている時だったら、仕事よりも子どもを選んだかもしれません。でも「やり直せたなら」とは思いません。生まれ持った容姿や過去を含めて、変えられないことを嘆く時間がもったいない。今あるものに目を向けることが、大切だと思います。
47歳の時、同い年の小田井涼平と再婚しました。愛する夫との子どもが欲しくて不妊治療をしましたが、授からず。夫は当時、ムード歌謡グループ「純烈」のメンバーで多忙を極めていました。そんな彼に「妊娠中、LiLiCoがつわりなどで苦しんでいても、そばにいてあげられない」と言われたことで、納得して諦めることができました。
この10年ほど、街で子連れ男性をよく見かけたり、子育ての社会制度や支援が広がっていたりと良い変化を感じています。でも、結婚、そして母になることが全てではないことは大前提としてあります。自分と異なる立場や意見があることを知り、相手への想像を豊かにすること。その考えがより社会全体で重要視されてほしいと思っています。
(構成・フリーランス記者 小野ヒデコ)
※AERA 2024年5月13日号