松下:本当にお好きなんですね!

鈴木:さらに「冴羽リョウを実写化するなら、そこまでイケメンじゃなくても逆にいいと思うんです。雰囲気が冴羽リョウなら」とか自分に都合のいいこと言ってたよね(笑)。今回、幸運にも冴羽リョウを演じることになって、少なくとも少年時代の自分に「シティーハンターはこんなんじゃない!」と言われないような実写化にしたいとは思ってきた。

 漫画原作はビジュアルがあるから特殊で。自分が思うキャラクター像だけでなく、ファンが思う平均値みたいなものがあるから。

松下:寄せれば寄せるほどいいものでもないということですね。コスプレになっちゃうとダメなんですね。

鈴木:あくまで、人間でいないといけないでしょ。でも例えば、立ち方は絵で指定されている。そこを感じさせることで、観ている人は「間違いなく冴羽リョウだ」と感じてくれる。これをただものまねしちゃうとコスプレになるから難しい。どう受け取ってもらえるかドキドキしてるよ。

松下:僕は漫画原作の実写をやったことなくて、知らないから言えるのかもですが、ちょっと楽しそうですね。

鈴木:そうだね、でも怖いよね。それだけ期待もあるし、みんなの頭の中で決まったスタイルのある役だから。映画「燃えよ剣」(2021年)で俺たちが演じた新選組はファンが多いけど、いろんな人が演じてるから「今回はこうなんだ」となるでしょ。でも漫画やアニメは「今回は」とならないからね。

松下:なるほど、だって正解はひとつですもんね。実は昨日、「シティーハンター」を拝見したのですが、どっからどうみても冴羽リョウでした。めちゃくちゃかっこよかったです!

鈴木:(スタッフを振り返って)すぐ見せるんだよなぁ(笑)。

松下:これまでの亮平さんのキャリア“全部乗せ”みたいな作品でした。かっこいい亮平さんと悲しそうな亮平さんと映画「HK 変態仮面」(13年)的な亮平さんも(笑)。いろいろな亮平さんが観られるから、すごく贅沢な作品だと思います。

鈴木:ありがとうございます。

松下:これぞ「鈴木亮平の真骨頂」だとも思いました。でもTBS系ドラマ「下剋上球児」(23年)を観た時も、映画「エゴイスト」(23年)を観た時も同じことを思ったんですよ。俳優のはまり役は巡り合わせもあるので、1個か2個でもはまれば上出来だと僕は思っていて。でも、亮平さんは作品全てがはまり役になる。本当にすごいなぁと改めて思いました。

鈴木:いやいや、そんなことないけどね。でもうれしいな。

 逆に僕は洸平くんがやるような役はマジでできないよ。

松下:絶対できちゃうんですって。

鈴木:いやいや。フジテレビ系ドラマ「いちばんすきな花」(23年)の春木椿のような、ちょっと抜いたような役はできないよ! 代名詞、なんて言われる? 「ふんわりアンニュイ柔らか男子」かな。「ユニクロ、です!」みたいなのできないですよ。

松下:あははは(笑)。亮平さんから先日、ガツガツした男っぽい役もやった方がいいと思う、というようなアドバイスをいただきました。最近いただく役がふわっとしたような、ちょっと頼りないようなキャラクターが多かったこともあって、どこかで挑戦したいとは思っています。

鈴木:僕が見たいんだけどね。そういう繊細さや柔らかさって、どんな役でも絶対にちゃんと出る。TBS系ドラマ「最愛」(21年)の大ちゃん(宮崎大輝)のような、スーツを着た刑事でも、無骨な色っぽさに加えて繊細さも出ていたから。洸平くんのあのラインがすごく好きだな。今の柔らかい男性像はひとつの確固たるラインとしてすでにあるから、そうじゃないものが見たいなと思ってる。

松下:いつ呼ばれてもいいように、準備と心づもりをしておきます!

AERA 2024年4月29日-5月6日合併号

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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