米刑務所では、マークシート形式の注文用紙で様々な食品や日用品を購入できる。その中で最も人気だったのがマルちゃんの袋麺で、小腹がすいたときは、凶器にならぬよう低めの温度に設定されたポットから湯をそそいで食べる。みなに愛されるおやつは自然と通貨代わりになり、ベッド脇にマルちゃんの袋を大量に積んでいる者が「資産家」とみなされた。

 暴力も違法行為もなんでもありの囚人の社会で生き抜くためには、「うまい立ち位置」を確立することが何より重要だったと吉田氏は言う。変に強がって集団になじめなければ抹殺され、かといって上の者にこびへつらう腰巾着に成り下がれば、食事を奪われたりレイプの対象になったりと奴隷のような扱いを受ける。

「出所したら命はないぞ」

 ときに「俺は武術の心得がある。秘孔を突けば指1本でお前を殺せる」などとブラフをかまし、ときに弱い立場の囚人にパンやコーヒーを分け与えていた吉田氏は、次第に「いいやつだけど怒らせたら何をされるか分からない」キャラとして房内で一目置かれる存在になっていったという。

 そんな吉田氏は、半年間過ごした“スーパーマックス”を「人間を腐らせる犯罪者養成施設」「阿鼻叫喚(あびきょうかん)の生き地獄」と形容する。

「刑務所内で物品を配る係をしていたので、あらゆる囚人の姿を見ました。ある時、食パンやリンゴなどの朝食が入ったポリ袋を配っていたら、『袋をもう一つよこせ。さもないと、出所したら命はないぞ』とすごまれました。食いつかれたら骨までしゃぶられる、ハイエナの集団のような場所ですよ。自分の身を守るために弱気なそぶりは見せないようにしていたけど、内心は1秒でも早く出たかったです」

 最後に、これから刑務所生活が待ち受けているかもしれない水原容疑者について思うことを尋ねると、「うーん」と悩んだ末にこう返ってきた。

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水原容疑者はエンゼルスやドジャースファンの囚人から報復される可能性も?