一方、両者の違うところ、あるいはレナードにあって八村に欠けている部分があるとすれば、それはディフェンスだろう。シーズン途中から先発となっている八村だが、ディフェンスに対する課題があり、控えだった時はプレー時間が20分台であったり、勝負を左右する終盤にベンチを温めることがあった。
ところが、レナードはディフェンス力がリーグ屈指で、最優秀守備賞は2度獲得し、NBAオール・ディフェンシブ・ファーストチームには3度入り、セカンドチームは4回受賞。2015年にはスティール王にも輝いた。つまり、八村がさらなる成長を遂げ、優勝請負人とも言われるレナードのレベルに達するには守備面の強化が必須ということだ。
八村は、昨季、そして今季のプレーオフでデンバー・ナゲッツと当たり、場面によってはリーグMVPに2度輝いているニコラ・ヨキッチとのマッチアップを任されている。これは、チームも八村のポテンシャルを感じているからに他ならない。
向かってくる相手が八村にコンタクトしてきても、むしろその相手の侵入を許さずに逆に弾き飛ばすほどの体幹の強さがあるのは天性だろう。ディフェンスの精度が高ければ、オフェンスのリズムも良くなるというもの。NBA入りしてからディフェンス面での成長を見せているが、守備力でレナードレベルに近づくことができれば、八村のキャリアはさらに輝かしいものになるだろう。(文/田村一人)