
両陛下の後に参拝した上皇さまと上皇后美智子さまも、修理を重ねてご愛用の雨傘をそれぞれお使いだという。
上皇さまはシルクハットはなく、右手で黒い雨傘をお持ちだった。そして美智子さまは左手に扇子、右手だけで雨傘を支えていた。
美智子さまの黒い雨傘の修理も、前原光榮商店の職人が何度か手掛けたという。
「日傘ぐらい小さなサイズで、たたむと素敵な形の雨傘です。いまは軽いアルミ素材を用いた骨が主流ですが、上皇后さまの雨傘は鉄製の中棒が使われた昔の品。見かけはきゃしゃですが、重みのあるため風にも強いと思います」

ときに厳しい気象条件であっても進められる皇室の公務は、表に出ることがない職人たちの技にも支えられている。(AERA dot.編集部・永井貴子)