強い雨と風のなか、淡いベージュの雨傘を左手でさし、明治神宮を参拝した皇后雅子さま=4月9日、東京・明治神宮
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 天皇、皇后両陛下が明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮を参拝した9日は、強い雨に見舞われた。モーニング姿にシルクハットを手にした天皇陛下に続き、白い参拝服で玉串を捧げ、拝礼した皇后雅子さま。強い雨風の中でひときわ目を引いたのは、雅子さまが手にしていた淡いベージュの傘だった。

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 この日の午前9時半、最礼装のモーニングに身を包んだ天皇陛下が、明治神宮の本殿へと続く門の前に到着した。大雨に加え風も強まるなか、左手にシルクハット、右手に傘を持ち、境内の石畳を進む陛下。本殿に向かって拝礼し、玉串を捧げた。

 そして皇后雅子さまも、午前10時に門の前に到着。雨風はまだ、おさまる気配がなかった。

 右手に儀礼用の扇子を持っているため、左手のみで雨風に揺れる傘を支え続けなくてはならない。白いロングドレスとヒールの高いパンプスで石畳を往復する間、強い風が何度も吹き、傘とロングドレスが大きく煽られるほどだった。
 

 雅子さまが持つ美しいベージュ色の傘は、骨組みが細く、優雅ではあったが、しっかりと風に耐えていた。

 この雨傘を製作したのは、戦後間もない1948年に東京都台東区に創業した老舗、前原光榮商店。傘は同社の職人によって作られた品だ。

 皇室との縁は1963年、皇太子妃だった美智子さまの傘の修理を手がけたことから始まった。その後、昭和天皇のために黒い雨傘を納める機会を経て、同社の職人が作った傘が皇室で使われるようになったという。

 同社の3代目、代表取締役の前原慎史さんはこう話す。

「雅子さまがお使いの雨傘は、ライトベージュの優しい色合いの布が使われたお品です。昨年まで販売されていた商品ですが、竹製の手元を革で作り変えた一点物の品です」
 

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職人が丹念につくった雨傘