「被害者等心情聴取・伝達制度」を利用するにあたり、松永さんが飯塚受刑者に伝えたい内容をまとめたメモ(松永さん提供)

免許返納を進めるためには

――松永さんは飯塚受刑者に、高齢ドライバー問題についての意見や経験を問う8つの質問を投げかけ、4月6日、本人からの回答を報告する書面が届きました。各質問に込めた意図をお聞かせ下さい。(以下、〈〉内は質問と回答の要約)

〈質問1:あなたはどうすればこの事故を起こさずに済みましたか。 回答:「運転しないことが大事です。」〉

〈質問2:高齢者として、どのような社会であれば事故を起こさずに済みましたか。 回答:「運転しないことです。」〉

〈質問3:病院までの無料又は500円程度の送迎サービスなどがあれば利用しましたか。 回答:「はい。」〉

 まず、すべての質問は92歳という飯塚氏の年齢を踏まえ、できるだけYES/NOで端的に答えやすいよう配慮しました。

 質問1~3は、免許返納をしやすい社会を目指すための質問です。自治体によっては、免許返納した高齢者に対して、身分証として使える「運転経歴証明書」を発行したり、シルバーカーの購入費用を補助したりしていますが、まだまだ地域差は大きいし、積極的に広報されているとは言いがたいのが現状です。

 飯塚氏は裁判の中で、電車は使い勝手が悪いから車を運転していたと主張しました。あの時はムカッときましたけど、たしかに地下鉄は階段やエスカレーターが多いし、高齢者が利用するには大変な面もあります。免許返納を進めるには、車がなくても安心して生活できる社会になる必要がある。高齢者自身の決断とご家族の説得に委ねきっている現状はおかしいと思います。

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高齢で刑務所に入る苦しみ