テレビアニメで人気になったが…
都によると、20年前まではゼロだった捕獲数は05年度から増加。現在は千代田区などの都心部も含め、都内のほぼ全域で生息が確認されている。21年度の捕獲数は1223頭になった。23区内の住民から寄せられた相談件数は13年度には9件しかなかったが、21年度には400件と40倍以上に増えた。
生息調査が行われていないため詳細は不明だが、区部では比較的農業が盛んな練馬区や世田谷区、大田区など、環状8号線に沿ったエリアにアライグマが出没することが多いという。
「夜に活動するアライグマが日中に人目につくようになったら、もう相当な数が生息していると考えていい」
と話すのは、兵庫県森林動物研究センターの横山真弓研究部長。アライグマはもともと北米原産だが、国内で最も数を増やしているのが関西地方だ。
アライグマは1970年代に放送されたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」で人気となり、見た目の可愛らしさもあって、ペットとして大量に輸入された。
ところが、ブームが下火になると、業者や飼い主に都市近郊の野山などに捨てられ、野生化。関西地方では2000年ごろから急増し、兵庫県では毎年5千万円ほどの農作物被害が出ている。
05年に特定外来生物に指定され、兵庫県内では21年度に8千頭以上が捕獲されたが、それでも増加に歯止めがかかっていない状況だという。
そして、アライグマをめぐっては、新たな懸念も出てきている。
アライグマにつくマダニが媒介する「SFTS」(重症熱性血小板減少症候群)という感染症だ。