では、なぜ1人で行くのか。理由の一つに「行動しやすさ」があるという。ショーやパレードを見学する際は推しのキャラクターやダンサーの近くを陣取りたい。自分の好きなアトラクションだけを楽しみたい。食事のタイミングや何を食べるのかもすべて自分の好みで決めたい。こういう人が1人で行くメリットを感じている、とみっこさんは言う。
「グループで行くと必ず好みが分かれます。2人で行けば2倍になり、3人で行けば3倍の要望が出てきます。その点、1人だと見たいもの、食べたいもの、買いたいものが全て自分の裁量で決められます。それが楽というか、楽しくてはまる人が多いのだと思います」
家族やグループで訪れた際に消化不良を感じた経験のある人が、「次は1人で」となるというのだ。
中年男性の1人客によく見られるのが、ビールとつまみを片手に、水辺の静かなベンチでたたずむ姿だという。みっこさんは自身の体験も踏まえ、「1人ディズニー」の醍醐味をこう説く。
「誰にも邪魔されずにゆったり落ち着いて、非日常的な空間に身を浸すことができるのは至福の時間なのだと思います」
行ってみたい気もする。だが、知り合いと鉢合わせしたら何と言おうか。そんな体裁ばかりを気にする自分はまだまだなのだ、きっと。(編集部・渡辺豪)
※AERA 2024年4月22日号