新学期が始まり集団登校する小学生。登校班のとりまとめをする保護者や教員の負担が大きく、近年は個別登校を望む声も多いという
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 掟に従わない人間は村八分に遭う──。PTAの取材をしていると、そんな古い慣習を思うことがある。典型的な例が「登校班トラブル」だ。AERA 2024年4月15日号より。

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 小学生の子どもを持つ親から時折こんな話が聞こえてくる。

「PTAをやめると伝えたら『お子さんは登校班から抜けてもらう』と役員に言われた」

 登校班とは、交通や防犯上の安全のため家が近い子ども同士が学年を超えて班を組み、集団登校する仕組みのこと。新年度の初めだけ集団登校を採用し、以後は個人登校させる学校もあれば、年間を通じて集団登校を採用する学校もある。文部科学省の2021年度調査によると、集団登下校は全国約6割の小学校で実施されている。

 トラブルを招きやすい要因の一つは、誰が実施主体かわかりにくいことだ。学校保健安全法において、学校は「通学の安全に関する事項について計画を策定・実施する」とされるが、安全の確保それ自体は学校の仕事ではないと解される。17年に出された学校の働き方改革に関する答申でも、見守り活動など登下校に関する対応は「学校以外が担うべき業務」と位置づけられた。だが、PTAの保護者からすれば、登校班の班編成や当番表の作成は、学校の手伝いと変わりない。そのため「PTAに入らない家庭の子は排除して当然」と考える親も出てしまうのだ。

「関与できない」と放置

 しかし、PTAに入らない保護者のほとんどは登校班に異論があるわけではない。「他の児童がみんな登校班で通う中、我が子だけ一人で通わされるのは耐えがたい」と、やむなく退会をあきらめる親もいる。校長や教育委員会が「PTAに入らない家庭の子どもに不利益が及ばないように」と指導を行えばトラブルは比較的早く収束するが、指導がない、またはPTA役員が指導に従わないこともあり、話がこじれる。登校班からの排除を告げられた親が教育委員会に相談しても「PTAがやることには関与できない」と放置される例も聞こえてくる。

 昨今、登校班トラブルが目立つのは、PTAが任意加入の団体であることが広く知られ、加入しない保護者が増えたことが一因と考えられるが、集団登校については以前からさまざまな課題が指摘されてきた。改善の動きも始まっている。

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